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これまでの主な成果

  • 大気圏-電離圏統合モデルの完成


    大気圏モデル、電離圏モデル、ダイナモモデルをシステマティックに結合し、世界に先駆けて対流圏から電離圏までの全地球大気領域を扱う数値モデルの開発に成功した。モデル名はGAIA(Ground-to-topside model of Atmosphere and Ionosphere for Aeronomy)とした。
  • 電離圏の経度依存性の再現および上下結合過程の解明


    大気圏-電離圏統合シミュレーションを行い、電離圏の経度依存性を調べたところ、近年人工衛星で観測されたような波数4構造が再現されることが解った。さらに、対流圏との関連を調べたところ、様々な大気波動が混在する中で、波数4構造のもとになる大気潮汐が下層大気の対流活動によって励起し、熱圏まで伝播し、ダイナモ作用を介して電離圏に影響を与えることが解った(図1)。また、電離圏日々変動の一因として、下層大気における気象の影響を示唆する結果を得た([Jin et al., 2011])。
    図1:大気圏-電離圏統合モデル(GAIA)で再現された大気上下結合[Jin et al., 2011]
  • 熱圏分布における「赤道異常」の再現とその生成要因の解明


    電離圏F領域における電子密度は、太陽光強度の最も大きい赤道でなく、磁気緯度±10-15度付近にピークが現れる事(赤道異常)が知られる。一方、最近の人工衛星による観測からは、電離圏の背景にある熱圏の分布においても、「赤道異常」の構造が発見され、形成要因について議論が続いている。我々は大気圏-電離圏統合シミュレーションを行い、モデルにおいても電離圏だけでなく熱圏の赤道異常が再現されることが解った(図2)。そして、詳細な解析を行ったところ、中性大気と電離大気の相互作用の影響に加えて、下層大気から直接熱圏上部まで伝播する大気潮汐が熱圏赤道異常の形成に寄与するという新たな見解を得た。さらに、電離圏だけでなく熱圏上部においても波数4の経度構造が現れることが解り、超高層大気が下層大気の影響を深く受けているという新たな描像を得た[Miyoshi et al., 2011]。
    図2: 熱圏質量密度の赤道異常:上が観測[Liu et al., 2010]。
    下が大気圏-電離圏統合モデルの計算結果[Miyoshi et al., 2011]。
  • 高分解能シミュレーションによる超高層大気現象の再現


    大気圏モデルの高空間分解能化を行い、シミュレーションを行ったところ、下層大気の対流活動によって励起する水平波長数100~数1000kmの重力波が熱圏まで伝播する様子が再現された。Miyoshi and Fujiwara [2009]では、モデルで再現された熱圏中の重力波の特徴を調べ、さらに経度に依存する下層大気の対流活動と熱圏の重力波との関連を明らかにした。陣ほか[2011]では高分解能化したダイナモモデルに高分解能大気圏モデルの結果を入力し、熱圏の重力波の影響が十分に電離圏電場分布に現れることを示した。
    Shinagawa et al. [2009]は、電離圏モデルの高分解能化を行い、2009年7月22日に日本で起こった皆既日食の際の電離圏についてシミュレーションを行った。そして、日本上空の全電子数の観測とモデルの両面から日食の電離圏への影響(月の影の移動に伴う電子密度減少領域の移動など)を明らかにした。
  • 気象再解析データを入力した大気圏-電離圏シミュレーションと観測との比較


    GAIAの対流圏・成層圏部分に気象再解析データをナッジングによって入力する方法を開発した。さらに、太陽放射強度についても実際に観測されたF10.7指数の変動をモデルに取り入れた。これらにより、実際の下層大気の影響を含んだ、現実に近い超高層大気のモデリングが実現した(磁気圏擾乱の影響は除く)。このモデルを用いて長期間のシミュレーション(現時点では数ヶ月間)を行い、全球全電子数の観測と比較を行った。陣ほか[2010, 2011]は初期結果を報告し、電離圏の赤道異常の位置や南北非対称を含めて良く再現出来ることを明らかにした。